Google Keep は、Google が提供するシンプルで直感的なメモアプリです。ラベルや色分けで整理でき、Gmail やカレンダーとの連携もスムーズなことから、多くのユーザーに支持されています。しかしその一方で、「長く使ってみたら意外と不便だった」「業務には使いにくい」という声も後を絶ちません。
本記事では、Google Keep が「使いにくい」と感じられる7つの主要な理由を取り上げ、それぞれの対策や代替案、運用改善のヒントを解説します。
1. フォルダーが作れない:階層管理の壁
Google Keep には、ファイルやメモを階層的に管理する“フォルダー機能”が存在しません。整理方法はラベル(タグ)のみで、しかもアルファベット順で並び替えが固定されているため、大量のメモを管理するには限界があります。
対策
- ラベル名の頭に数字(01_仕事、02_買い物)をつけて並び順を制御
- よく使うメモはピン留め+色分けで「疑似フォルダー」的に活用
- プロジェクトごとに色を統一して視認性を上げる
2. 検索&並び替えが弱い
Google Keep はキーワード検索はあるものの、タグの絞り込みや日付順以外の並び替え、フィルターなどが限定的です。また、アーカイブされたメモは検索対象外になるという報告もあります。
対策
- タイトル冒頭に「#todo」「#memo」などの区切り語を入れておく
- Google ドキュメントにメモを貼り付けて管理し、より高度な検索を活用
- ラベルで「日付」カテゴリを作って管理する(例:2025年_06月)
3. 書式設定が限定的・配信が遅い
書式設定(太字・箇条書き・見出しなど)は、2023年以降に追加されたものの、一部のユーザー環境ではまだ反映されていません。また、PC とスマホで表示形式が異なるケースも多く、整ったレイアウトを保ちにくいのが現状です。
対策
- 一旦 Google ドキュメントでレイアウトを整え、Keep には概要だけを記載
- 見出しを「【●●】」などの記号で擬似再現
- Markdown やリッチテキスト対応のメモアプリへ移行を検討
4. リマインダー機能が細かく設定できない
Google Keep にもリマインダー機能がありますが、カスタム繰り返しや通知スタイルの選択肢が限られており、複雑なタスク管理には向いていません。
対策
- タスク管理は Google Tasks に切り替え、Keep は補助メモ用に使用
- カレンダー連携で日程管理は別途行う
- 重要メモは手動でカレンダーにもコピーする運用
5. ラベルと色の上限
Keep のラベルは最大50個程度が現実的な管理限界で、それ以上になるとリストの可読性が落ちます。また、色分けは12色に固定されており、細かい分類には向きません。
対策
- ラベルを季節・プロジェクト単位で定期的に整理
- 不要なメモはアーカイブに回す
- 色の意味づけをルール化(赤=緊急、青=完了、黄=下書き)
6. 長文・添付ファイルには不向き
Keep は本来「短文メモ」向けのツールです。そのため、文章量が多くなると読み込みが重くなったり、編集しづらくなったりします。また、PDFなどのファイル添付には対応していません。
対策
- 長文は Google ドキュメント/Notion/Evernote などに分離
- Keep には見出し・概要・リンクのみ記載
- 画像やPDFは Google Drive 経由で整理する運用に切り替える
7. 他サービスとの連携が弱い
Keep はシンプルな設計ゆえに、他のアプリとの連携が限定的です。Zapier や IFTTT の連携トリガーも少なく、自動化やAPI活用には不向きです。
対策
- Gmail とカレンダー連携は積極活用(Gmail → Keep メモ作成)
- Docs に送信ショートカットを追加して2段階編集にする
- 業務用途では Notion や Evernote のような拡張性あるツールを併用
8. 代替アプリ比較表
用途 | Keep | Evernote | Notion | Standard Notes |
---|---|---|---|---|
軽量メモ | ◎ | △ | △ | △ |
階層管理 | × | ◎ | ◎ | △ |
書式自由度 | △ | ◎ | ◎ | ○ |
E2E暗号化 | × | × | × | ◎ |
学習曲線 | 低 | 中 | 高 | 中 |
9. 使いにくさを緩和する設定&小技10選
- ラベル名の先頭に数字を振ってソート制御(例:01_仕事)
- ピン留めと色で擬似フォルダーを再現
- Android ではウィジェットを使って一覧性UP
- Docs への送信ショートカットをツールバーに固定
- 音声入力の句読点自動設定を有効に
- 改行は Shift+Enter を使って整形を統一
- 画像検索を意識して1ノート=1画像に
- アーカイブ整理を月1回実施
- Tasks と Calendar でスケジュール管理を分担
- Google Takeout でバックアップを月次取得
まとめ
Google Keep が「使いにくい」と感じる理由は、フォルダー構造の欠如や書式設定の貧弱さ、連携性の低さなど構造的なものであることが多いです。ただし、Keep を軽量メモ・リマインダー専用として割り切って運用し、Docs や Notion など他ツールと併用することで、快適なメモ環境を実現することは十分可能です。
Keep の魅力は「軽くて速い」点にあります。その長所を活かしながら、賢く運用していきましょう。