Microsoft Officeの代替として注目されている無料オフィスソフト「LibreOffice(リブレオフィス)」。ワードやエクセルのような基本機能が無料で使えることから、個人・教育機関・自治体などでも導入が進んでいます。
しかし一方で、「LibreOfficeは危険ではないか」「セキュリティ面が不安」「ファイルが壊れた」などの声も少なからず聞かれます。無料だからこその制限や、知らずに使うと起こりうるトラブルについて、不安を感じて検索している方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「LibreOfficeの危険性」とされる点をセキュリティ・互換性・安定性の側面から整理し、安全に使うためのポイントもあわせて解説していきます。
■libreofficeを使ううえで指摘される危険性とは?
無料で使える反面、気をつけたいリスクやデメリットも存在します。
●セキュリティ面での不安は本当にあるのか?
LibreOfficeはオープンソースソフトウェアであり、誰でもソースコードを閲覧・改変・再配布できるという特徴があります。これ自体はメリットである一方、「ソースコードが公開されている=悪用されやすいのでは?」と心配する声もあります。
しかし実際には、LibreOfficeは世界中の開発者によって監視・改善が続けられており、重大な脆弱性が発見された場合も比較的速やかにパッチが提供されます。とはいえ、古いバージョンを使い続けているとセキュリティホールを突かれるリスクは否定できません。
また、公式サイト以外からの不正なインストーラーを使った場合、マルウェアに感染する危険性もあるため、導入元を正しく選ぶことが最大の防衛策となります。
●Microsoft Officeとの互換性の問題
LibreOfficeはMicrosoft Officeの文書形式(.docx、.xlsx、.pptxなど)と高い互換性を持っていますが、完全ではありません。以下のような問題が発生することがあります。
- Wordで作成された文書を開いたらレイアウトが崩れた
- ExcelのマクロやVBAが動作しない・無効化される
- PowerPointのアニメーションや特殊フォントが反映されない
特にビジネス文書や取引先とのやり取りが多い環境では、微妙なレイアウトのズレが大きなトラブルになることもあります。LibreOffice内で完結する用途には問題ないものの、Officeユーザーとの連携が求められる場合は注意が必要です。
●操作性・UIの違いによる戸惑い
LibreOfficeはMicrosoft Officeに似た構成を持っていますが、細かな操作感やメニュー配置には差があります。たとえば、
- ショートカットキーが微妙に違う
- UIが古く見える
- メニューの言葉が直感的でない
など、Officeから移行してきたユーザーほど戸惑いやすい傾向があります。学習コストがゼロではないという点も、業務効率に影響を及ぼす可能性があります。
●アップデート頻度と安定性の不安定さ
LibreOfficeは年に数回のメジャーアップデートが行われており、新機能の追加やバグ修正も積極的に行われています。反面、「最新版を入れたら不具合が出た」という報告もあります。
特に以下のような問題が挙げられます。
- 印刷時に用紙サイズが勝手に変わる
- フリーズや強制終了が起こる
- 日本語入力周りでの不具合が発生することがある
開発版(Fresh)を使っている場合は不安定さが増すため、安定版(Still)の利用がおすすめです。
●サポート体制の違いと自己解決の難しさ
LibreOfficeは無料である反面、メーカーによる電話・メールサポートがありません。困ったときは以下のような手段で解決する必要があります。
- フォーラム(英語メイン)で質問する
- 日本語ユーザーコミュニティの情報を探す
- GitHubやRedditなどで情報を調べる
ある程度ITリテラシーのあるユーザーであれば問題ありませんが、初心者や高齢者にとってはサポートの敷居が高いと感じるかもしれません。
■libreofficeの危険性を回避して安全に使うためのポイント
使い方を間違えなければ、LibreOfficeは非常に優秀なツールです。
●公式サイトから最新版をダウンロードする
非公式サイトや広告経由のダウンロードは、ウイルス混入リスクがあるため避けましょう。必ずlibreoffice.orgなど正規のダウンロードページを使用することが重要です。
●互換性が重要な文書はOfficeで開くことを前提に作成
LibreOfficeで作成したファイルをMicrosoft Officeユーザーと共有する場合、PDF化や.odf形式への変換に注意し、可能であれば事前にOffice環境で表示確認を行いましょう。
●重要な業務での導入は試験運用を経て慎重に
社内業務や大規模組織で導入する場合は、いきなり全社展開するのではなく、一部部署でのパイロット導入・評価を経て本格導入を検討することがリスク回避に繋がります。
●日本語環境での不具合には要注意
特にフォントや文字化け、レイアウト崩れに関する報告が多いため、日本語テンプレートの利用や「Noto Sans JP」など安定したフォントの導入もおすすめです。
■LibreOfficeは危険なのか?結論とまとめ
適切に使えば、高コスパで安全なオフィススイート。だが“向き不向き”もある。
LibreOfficeは「無料で使えるオフィスソフト」として非常に高機能なツールです。しかし、以下のような人には注意が必要です。
- セキュリティパッチの適用を怠りがちな人
- Word・Excelの完全な互換性を求める人
- 不具合時に自己解決が難しいと感じる人
一方で、普段の文書作成や個人利用、PDF変換、簡単な表計算などには十分対応可能であり、「危険性=使ってはいけない」というわけでは決してありません。
大切なのは、LibreOfficeの特徴を理解し、自分の用途に合うかどうかを見極めること。情報収集と適切な使い方さえできれば、LibreOfficeは頼れるパートナーになるでしょう